October 22, 2009
蝶々夫人 MADAMA BUTTERFLY - DVD決定盤オペラ名作鑑賞シリーズ 8 (DVD2枚付きケース入り) プッチーニ作曲
永竹 由幸(ながたけ よしゆき)

定価: ¥ 4,800
販売価格: ¥ 4,560
人気ランキング: 68012位
おすすめ度:

発売日: 2008-12-27
発売元: 世界文化社
発送可能時期: 在庫あり。
うら若き八千草薫の蝶々夫人
立派な装丁の「オペラ名作鑑賞シリーズ」です。表紙を外すと黒を基調とした本のような外観となり,なかなかよいと思います。
内容は,DVD2枚(オペラとオペラ映画)とカラーの解説本。
購入動機は,日本人の蝶々夫人が見たかった,という点にあります。
以前見た舞台は,歌は素晴らしかったのですが,演出,衣装,歌手の立ち居振る舞い,すべてに突っ込みを入れたくなるもので,
そういうもんだ(つまり,ヨーロッパ人から見たアジアの異国情緒が出ていればよい)と割り切ろうと思ったものの,
割り切れず,ストーリーに集中できませんでした。
これに対して,このDVDは,スカラ座の公演の方が,1986年上演,林康子主演,浅利慶太演出,森英恵衣装であり,
かつて味わった違和感はありませんでした。
ま,ちょっと蝶々さんが可憐ではありませんでしたが。
オペラ映画の方は,八千草薫主演で,理想的な蝶々さんでした。ほんと,かわいらしいです(そして,かわいそう。話に入り込めました!)。
1955年の古い映像であるにもかかわらず,画質は比較的よかったと思います。
歌は残念ながらイタリア人歌手の吹き替えでしたが,蝶々さんのかわいらしさと,1幕にゾロゾロ出てきた宝塚歌劇団の皆さんの美しい踊りが
あまりによかったので,総合的な印象は非常によいです。
もっとも,八千草版は古いのでともかく,スカラ座の公演もドルビーデジタルステレオの音しかなく,自分としては,少々物足りなかったです。
理想の蝶々夫人・・・
八千草主演の映画蝶々夫人を待っていた。こんなところ(世界文化社)から出ていようとは!この当時にイタリアにこのようなセットを用意できたことだけでも奇跡に等しい。日本人が見てもなんの違和感がないのはすごいと思う。そして八千草薫の蝶々さん…悲しくなるくらい可憐で美しい蝶々さんである。そのあどけない笑顔を見て涙があふれた。これこそプッチーニが思い描いていたであろう蝶々さんの理想の姿であろう。八千草薫は吹き替えではあるけど、すべてイタリー語の歌唱を覚えたのだろうか?すごい根性である。映像はどの場面を見ても息をのむほど美しく、名画のようだ。そしてプッチーニの音楽がそれをいやがうえにも高めている。音楽は映像上つぎはぎだらけになっているが、これは許せる範囲であろう。
文句のつけようがない5つ星
実は八千草主演映画のDVDカップリングを、提案というか要望したのは私である。このシリーズは過去にない最高のシリーズだと推薦できる。第1巻からして幻といわれたソフィア・ローレンのアイーダだったり、第4巻ではテノールのケルビーノだったり、続く5巻ではアーノンクール&チューリヒのモーツァルト2作と過去にはない濃厚さとマニアックさで続いてきた本シリーズ。本8巻ではついに幻の映画となっていた八千草薫の蝶々夫人の登場である。
八千草の代表作ながら十年前に衛星で放送されたのを最後に、その存在さえ忘れられたかのようであった本作を、なんとこの価格で発売に踏み切った世界文化社に敬服する。しかもカップリングは、日本人スタッフで固めたすでに定評のある林康子のスカラ座公演、とくれば、最早手を出さない人が信じられない。
とかく西洋に中国と混同され、数々の珍映像を長年に渉って提供され続けてきた蝶々夫人、それをやっと「まともな」映像で目の当たりに出来るのである。「ふざけているのか」と思うようなトンチンカンな映像で、蝶々夫人の悲劇などに浸っている暇さえ与えられず、終始「エセ日本文化」へのツッコミばかりに失望していた諸兄には、またとない一冊となること間違いない。
林盤におけるマゼールの指揮&日本人スタッフ、八千草盤のイタリアオペラ陣営&日系キャスト+スタッフを見ると、近年ミッテラン監督によって描かれた「いくらかまともな」蝶々夫人への感激も薄らいでしまう。やはり中国人が演じる「歌劇 蝶々夫人」では崩せない壁が、そこには立ちはだかっている。
惜しむべくは前時代的な歌唱のイタリア人歌手陣営だろうが、そんなものは八千草の可憐な蝶々や、日本人キャストの繊細な配慮が行われた「ちょっとした所作」の前には、とるに足らない。イタリアのスタジオに再現された「日本」に、八千草は当時感嘆の声を漏らしたというが、それだけ作品に力を込められる時代だったのだと思うと羨ましい。八千草も全曲を唄えたと言うのに、あえて本場のソプラノ歌手で吹き替え。しかし宝塚出身の彼女にとっては、日舞も演技もお手の物。仲間の宝塚歌劇団と一緒に演じる姿は艶(あで)やかというほかに言葉がない。
ちなみに後ろ表紙に「全幕完全収録」と書かれているが、映画では元々原曲に編集が施されているので、プッチーニの原曲どおりにいかない部分もある。もっとも原曲自身、一連の流れがある原典版のスカラ座版よりもツギハギの現行版パリ版の方が多く演奏されているのだから、それに苦言を呈するのも野暮というもの。
日本文化乏しい昨今の正月?新年は、是非この蝶々夫人で味わってほしいものである。世界文化社の勇気ある復刻に、感謝!!
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